STORY
Written by 川﨑瑠可

The Sense of Wonder

お店の準備を進める中で店名について皆で話し合っていた時、上田がふと「センス・オブ・ワンダーってがあるけれど、あれっていい言葉だよね」と口にしたことがあってから、私も確かにいい言葉だよなと思いつつ、読んだことはなかったのでその週末買いにいきました。

 

 

 

 


本の内容は、著者レイチェル・カーソンが甥のロジャーと自然の中で過ごした日々を綴ったもの。彼女は農薬や殺虫剤による環境汚染について警鐘を鳴らしてきた先駆者でもありますが、本書では警告ではなく、未来を生きる子どもたちに向けて書かれたものでした。美しいものを見て感動し、未知のものに触れて知りたくなる心。それは、大人になったとき現実に直面しても失われるべきではない感性であり、心を豊かにする解毒剤のような役割を果たすだろうと、彼女は語っています。そしてその“神秘や不思議さに目を見はる感性”のことを「センス・オブ・ワンダー」だと。


本を読んでから、彼女の言葉が自分の心の深いところに刺さっていて、時に思い出しては自分なりに噛み砕いている最中ですが、ひとつ感じているのは、モノづくりに携わる人々は彼女が言う「センス・オブ・ワンダー」を自然と持ち合わせているなということです。何かに出会った時、その瞬間の感情の動きを逃さずキャッチし、それを形にする。そのプロセスがクリエイティブで唯一の作品を生む原動力になっているのだと感じています。

 

 

 

 
そう感じた出来事のひとつに、ガラス作家aurora glassさんとの出会いがありました。オープンにあたり商品を探している時に行った商談会で、真っ白なブースにひときわ目を引いた繊細なガラス作品と彼女の持つ雰囲気に惹かれ、お店に絶対合うだろうとお声がけをさせてもらいました。

お話をしている時に、作品のひとつに氷を模したリングに目を離せないでいると、毎年北海道が好きで訪れているということ、そのリングは十勝に訪れた際にみた海岸の氷(ジュエリーアイスと言われています)がとても綺麗で感動しモチーフにしたと聞き、彼女の作品の素晴らしさの根源は、まさに本でいうところの「センス・オブ・ワンダー」から来ているんだろうなと思ったことがありました。


お店に立ち始めた今気づいたこととして、WONDERINGという場が、作家たちの「ワンダー」が形になったものを集めた場所であるということです。そして訪れた人々にも、作品に触れて、その感性が湧き出てくるような場所になればいいな、と思っています。

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